寄る年波

2、3日前に偶然この頁に辿り着きました。筑波記念病院のコラムなのですが、主な内容としては、50歳を過ぎると筋量低下と筋肉の遅筋化が加速されるだの、ウォーキングでは筋量低下は防げないなどあまり知られていなくて当事者に取っては極めて重要なtipが盛りだくさんでした。興味深い内容でしたので”50歳以上の人”と近いうちにそのカテゴリーになる人のために貼っておきます。当分関係ないよ、と云う方はとばして下さい(^^;;

第70回:寄る年波には・・・
はじめに
「寄る年波には勝てない」という言葉があります。これは加齢とともに体力の低下や関節の柔軟性の低下によって、以前は簡単にできていたことが難しくなってくるという言葉です。一つ例を挙げると歩行です。高齢になっても若年の頃と同じように歩けるということは、日常生活の活動が高い状態で維持できているということを意味しています。この動作は主に下肢の筋の活動によって行われます。一方加齢により筋量が減少することもよく知られている老化現象です。

加齢に伴う筋量低下
ヒトの筋力は25〜30歳頃をピークに減少をはじめると言われています。その程度は50歳くらいまでは緩やかですが、その後50〜60歳で急激に低下してきます。加齢による筋力低下を引き起こす要因には筋量減少と筋繊維の遅筋化があげられます。また筋横断面積の減少も遅筋繊維よりも速筋繊維で起こりやすいといわれています。そして筋量の低下に伴い筋力も低下します。

*・・・遅筋は、大きな力を出すことはできませんが長時間にわたって力を出し続ける持久力を備えた筋肉で、それに対し速筋とは、ごく短い時間に力を出す瞬発力を備えた筋肉です。

筋力トレーニングと栄養
 高齢になっても筋力トレーニングの効果は得られます。しかし筋力トレーニングを行ったときの高齢者の筋量増加は若年者に比べると低値を示すことが多くあります。その要因の一つに筋繊維のタンパク合成速度が加齢により低下することがあげられます。そのため高齢者が筋力トレーニングを行う際は、トレーニングの頻度や強度だけでなく、栄養補給のタイミングも重要となってきます。具体的にはタンパク質を含む栄養補給を筋力トレーニング後、できるだけ速やかに行うことです。

ウォーキングで筋力維持はできる?
 ウォーキングが肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防に効果的であることは現在明らかになっています。一般的に中高齢者に対する運動処方はウォーキングなどの有酸素運動を中心に構成されることが多く見られます。しかしウォーキングなどの有酸素運動のみでは加齢に伴う筋力低下を防ぐという点では不十分な場合が多いです。加齢による筋力低下を抑制するためには一定強度以上の筋力トレーニングが効果的です。

おわりに
高齢になっても生活機能を維持・増進するためには、生活機能と密接な関係にある歩行能力を老化によって低下させないことが大切です。股関節や太腿の筋力を増加させる運動が必要となります。ウォーキングは生活習慣病の予防などさまざまなよい効果をもたらしますが、残念ながら加齢に伴う筋量低下を防ぐという点では目的に適していません。股関節や太腿の筋力を増加させる「筋力トレーニング」が必要となってくるのです。
また予防としてのトレーニングでは、50〜60歳頃から急激に筋力が低下しますが、それまでにトレーニングを積んでおくことにより老年期に顕著に現れる筋力の低下を防ぎ、元気な老人になるための基礎的体力をつけることができるでしょう。
 冒頭で「寄る年波には勝てない」と言いましたが、これからは「寄る年波には負けない!」を目標に中高齢者の方もそうでない方も筋力トレーニングに励んでください。

[TEXT :鶴見 政明{理学療法士}]